2015年5月6日水曜日

野ばらし(野放し)にはできない

 今までは造形物を扱った記事だったが、今回は二次元、文字&イラストに対しての記事にすることにした。
 今回はファイナルファンタジーⅡ(FF2)のロゴデザインについて考察をしていきたい。FF2はファミコン版とリメイク版によってロゴが違っているのでそれぞれ見ていきたいと思う。

FF2ファミコン版のロゴ

 こちらの画像がファミコン版のFF2のロゴデザイン。筆記体のアルファベットでタイトルが書かれている。全体で見ると派手なデザインに目を惹かれる。アルファベットの部分はドラゴンを模したようなデザインで縁取られている。縁も金色と豪華な彩色だ。アルファベットの背後には作品のナンバリングを表すⅡの文字がある。2の文字は真っ直ぐではなく斜め向きなデザインをされている。よく見てみるとこのⅡの上部分はFの上部分、ドラゴンのトサカあたりとシルエットが似ておりドラゴンの影を表している。ドラゴンや豪華なデザインによりファンタジックなタイトルロゴに仕上がっている。このゲームがそういう路線をアピールしているのが伝わって来る。ゲームをプレイするとわかるがこのゲームではあまりドラゴンは活躍もせず重要でもない。映画のタイトルロゴのような雰囲気で見ているだけで私はワクワクしてくる。ロゴは好きだがFF2のゲーム性も話も好きではない。


リメイク版FF2のロゴ(WS、PS、GBA共通)

 ファミコン版の発売から13年後にFF2はリメイクされワンダーズワン(WS)で発売、その後にはプレイステーション(PS)、ゲームボーイアドバンス(GBA)の三種類の機種でリリースされた。このリメイク三作品のロゴは画像の1つのみと共通している。使われている文字は前と同じアルファベットとⅡの文字とリメイク版ではカタカナが追加されている。フォントは凝っていたオリジナルと比べ、とてもシンプルなものとなっている。そしてどうしても気になってしまうのが、LとFの間にいるキャラクターだ。このキャラクターは皇帝といいFF2の諸悪の根源、いわゆるラスボスである。ゲーム作品のタイトルロゴというラベルとしては1番重要なポジションに鎮座している彼だが、今作品の数あるキャラクターの中から何故彼が選ばれたのか、私個人の率直な意見としては全く意味がわからない、というところだ。この皇帝というキャラクターは主人公たちが故郷や親を失った原因を作った本人であり、倒すべき敵なのだが、皇帝本人の登場するは終盤の手前であり、話す回数も多くなく、戦闘も2回しかないというとにかく影が薄いのだ。魅力のあるキャラクターかというとそんなことはなく、ただ残虐非道なだけという憎まれ役なだけ。そんな彼がどうして採用されたのか。ここでこのFF2のイメージイラストを見てみよう。

FF2イメージイラスト

このイラストは先ほどの皇帝のイラストを描いた人、天野喜孝によって描かれたものだ。手前に4人がプレイヤーが操作する主人公達、奥にデカデカといる人物が皇帝。先ほどの皇帝のイラストとほぼ同じである。制作側はこのイラストを元にロゴをアピールしたかったのだろうか。ドラゴン風にデザインされてたとはいえ文字のみのファミコン版と違いリメイク版ではゲームのイメージイラストを表現することによってこのゲームはロゴの中央にいる皇帝という敵が出てくる、こいつが倒すべき敵なのだと訴えかけているのではないかと私は記事を書きながらそう感じ取った。このイラストの皇帝は傲慢な表情をしているように見える。この表情を打ち砕くためにもプレイヤーには頑張ってもらいたいというところだろうか。残念だがらゲームをクリアしてもこのロゴのイラストは残ったままだ。


憎むべき敵、皇帝。上の文章は別のキャラクターの説明文。
民からの信頼など皆無であり恐怖で支配するという最低な男だ。

 今度は別のリメイク版FF2のロゴを見ていこう。

PSP、アプリ版でのロゴ

文字の部分は先ほどのロゴと全く同じだがまたLとFの間にキャラクターいる。このキャラクターは誰なのか。答えはひとつ、皇帝だ。いい加減にしろ!!前のロゴの皇帝の部分をリメイクした、というところだろうか。表情、服装、映っている大きさなどが前とは別物になっている。しかし表情は相変わらず傲慢なように見える。引き続き皇帝なのはこのゲームには主人公勢やアイテム、モンスターなどで印象に残るようなものがそれほどなく、強いて出すなら皇帝といった感じなのだろうか。正直、倒すべき最後の敵にしても存在が薄く愛される要素のないキャラクターをタイトルロゴという重要なポジションに起用するのはいかがなものか。もしかしたら皇帝に魅力を感じ、大好きな人もいるかも知れないが私は納得はできない。

 1番最初のロゴはファンタジックなデザインでゲームの世界観を表し、リメイク版ではゲームのイラスト、イメージデザインに基づいて皇帝という敵をアピールしている。リメイク版その2ではそこからイラストを変えてフレッシュ感を出したのだろうか。皇帝がタイトルを飾っているのは納得いかないが製作側の要望などに答えて作られたものであろうし、ゲームのイメージでもあるので間違ってはいないのだろう。他のFFシリーズのロゴ(プレイしたことあるもののみ)を見てみると、リメイク版FF2のようにイラスト入りのものがあるがどれも作品を象徴する生物、物体が入っている。ということは皇帝はFF2の象徴するものは皇帝ということ結論になる。イメージを再現できたとしても、ゲームをプレイした上で納得してもらえなければ意味がない、つまりゲームのロゴ、デザインはゲームの内容と連動して評価されるものではないかと私は思う。

私の嫌いな皇帝の断末魔で幕を閉じるとしよう。

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