2015年5月31日日曜日

ゴーいんなマイウェイ

 出先で色々な食べ物屋を見ることがあるが、最近鼻と目が向いてしまうのはカレー屋だ。老舗やチェーン店など様々。さて、今回は行ったことはないが目を特に引いてしまう看板の「ゴーゴーカレー」について見ていこう。



 ゴーゴーカレーの店舗の看板はとにかく派手だ。店舗名よりデカデカと佇むゴリラのマークが大きく主張している。しかしなぜゴリラなのだろうか?そこでゴーゴーカレーについて調べてみた。

 ゴーゴーカレーの名前の由来は松井秀喜のかつての背番号55からきているとのことだ。そしてゴリラの由来なのだが松井秀喜の肖像を本来は使いたかったみたいだが許可や承諾などが必要になるため、仕方なくゴーゴーの名前に因んでゴリラにした、という話らしい。つまりゴーゴー=松井秀喜、ゴーゴー=ゴリラ、ということは松井秀喜=ゴリラとも認識してしまう気がするのは気のせいだろうか。中途半端な由来の組み合わせのせいで松井秀喜に何かしらの風評被害がありそうななさそうな。しかしこのゴリラのマークを見ても松井には見えないのでセーフといったところだろうか。

 理由はともかくこのデカいゴリラのおかげでゴーゴーカレーは今日も人の目にゴリラのイメージを植え付けその存在感を放っているのだろう。よくよく見るとこのゴーゴーカレーのロゴもなかなか派手なものに見えてくる。なんでかは言いづらいがパチンコ屋のロゴに似ている気がするが、ゴリラの存在には勝てていない気がする。やはり1番に目を引くのはゴリラ様。店名など二の次などだ。しかし行ったことのない私ですらゴリラと店名をセットで覚えている、ということは刷り込みの要素としてはどちらも十分すぎる素質を持っているのかもしれない。

 松井が野球界のゴジラならゴーゴーカレーは存在がカレー界のゴジラなのであろう。インパクト的に。





2015年5月26日火曜日

もともとのみもの

 私はお酒が苦手だ。もちろんビールも苦手だ。だが美味しそうにビールを飲む姿に憧れや羨ましさを感じてしまうのはなぜだろうか。そんな感じで今回はビール、ではなくビールを模したジュース「こどもののみもの」のパッケージを見ていこう。


 
 これがこどもののみもののボトルのパッケージ。ラベルを見ると柄やイラスト、ロゴなど全体的にビールやビールのラベルを意識したものになっている。このデザインは子供心を刺激するものだと思う。先程言ったビールを美味しく飲む人への憧れは大人への憧れの一つではないだろうか。その憧れを擬似的に叶えるためにこの飲料が生まれ、ビールではないがビールに似たもののラベルデザインにすることで「こどもののみもの」と書かれているがビールに近い何かを手に入れ飲むことができるのだ。味は実際のビールの全く違うものだがパッケージとそれに似た飲み物だけで子供は大人の真似ができる。



欠点を挙げるとすれば、ラベルが全体を覆っているのでせっかくの中身がわかりづらいというところだ。だがラベルにグラスに商品が入っているイラストが描かれているので、このようにして飲もうというレクチャーが示唆されているようなものなのであからさまな欠点とはいえないところか。

 こどもののみものは個人的に美味しいものとは思えないが雰囲気だけは楽しめる素晴らしいコンセプトだと思う。中身は見えないがパッケージデザインでもその雰囲気は充分伝わってくるので二重の意味で美味しい飲み物ではないのだろうか。

2015年5月25日月曜日

やるせない世の中

 今回はアニメ「デジモンアドベンチャー」の「初代」と最新作「tri」ロゴを見ていこう。

初代デジモンアドのロゴ

デジモンアドベンチャーはデジモンのアニメ第1作目ということもあって、原作であるゲーム、デジタルモンスターのロゴを意識したものとなっている。カタカナ表記で文字のカーブの部分がカクカクしたデザインとなっていてドット絵風となっている。これはデジタルな世界ということを表現しているのだろう。とても分かりやすいものだと思う。

携帯ゲーム機デジモンのロゴ

デジアドtriのロゴ

 次はデジアド3作目である(アニメ作品としては8作目)デジモンアドベンチャーtriのロゴを見てみよう。カタカナ表記なところは変わらないが、フォントは全く別のものとなっている。第一印象は文字のが細い、ということだ。細くなっただけではなくカクカクしたドット風のデザインではなくお洒落を意識したあっさりとしたデザインになっている。初代デジアドが原作ゲームのロゴを意識していたが、triは原作どころか、前作すら意識していない。初代を見ていたファンへ向けた作品ということらしいがロゴには初代のロゴから溢れてくる力強さやデジタルな雰囲気が全く伝わってこない。あと、ヤが記号のようなフォントになっているのでヤに見づらい。あくまで本体のロゴ比較なので下のtriの表記はスルーさせてもらう。

 結局何が言いたいかというとtriのロゴ、「これはないだろ」ということ。前作を意識せず新しいものを表現したかったのかもしれない。だがシンプルすぎるフォントを細文字でデザインしてしまうとインパクトに欠けてしまうのだ。それどころか印象にも残らない。青バックに白文字なのでポカリスエットのロゴっぽくも見えてしまう。フォントはそのままにするにしても太さをもっとつけるべきだと思う。むしろ初代のロゴをそのまま使ったほうがターゲットである古参のファンには受けるのではないだろうか。

 

2015年5月23日土曜日

似てちょんまげ!?

 先日授業でグラフィックデザイナー、佐野研二郎氏の概要についての話を聞いた。氏は日光江戸村のマスコットキャラクター「にゃんまげ」をデザインした。そのにゃんまげだが私はとあるキャラクターと存在が重なってしまうのである。

にゃんまげ
CM効果でにゃんまげに抱きつくお客が多数いたそうで。

にゃんまげにイラスト
着ぐるみはこのイラストに忠実に作られている。

 それは彦根城のマスコットキャラクター「ひこにゃん」である。下の画像を見てもらえればお分かりだろうが。姿形が全く似ていないのだ。なのにどうしてイメージが被ってしまうのか、考察してみよう。

ひこにゃん
にゃんまでに負けず劣らずの癒しがある!?

ひこにゃん・イラスト
兜の長い角小さな体
着ぐるみと比べると再現度はあまり高くない。

 二つのキャラクターの共通点をあげてみよう。猫、全体の色が白、和をモチーフにしている、名前に「にゃん」が入るなど共通点は多い。だが両者の着ぐるみ、イラストを見比べても似てはいないし、イメージが重なることはない。これは実際の写真を見てしまっているからではないか。両者のデザインはシンプルだが、ハッキリとした形で覚えておかないと似ているものとして捉えてしまう、というところか。ひこにゃんは俗に言うゆるキャラのはしりなようなものなので、シンプルかつゆるいデザインになっている。にゃんまげはB級感漂うキャラクターとして製作されたらしい。経緯は違うがこのデザインのシンプルさも共通している。可愛さはあるが強烈なインパクトはないと思うので頭の片隅に放置されそうなデザインでもある気がする。そのせいでごっちゃになってしまったのではないだろうか。

 インターナットで調べてみると、私以外にも両者が被ってしまうという人が多数いた。デザインが違っていてもゆるーいデザインだと共通点がある程度あると同一視してしまう、という錯覚が起きてしまうのではないだろうか。アハ体験やサブリミナル効果もほんのすこしはこれに当てはまる気もするがどうなのだろうか。


2015年5月20日水曜日

オッス!でざいんはでーじだぞ!其ノ二

 前回ではドラゴンボールの原作漫画の方のロゴを取り上げたが今回はドラゴンボールシリーズのアニメのタイトルロゴを見ていきたい。

アニメ・ドラゴンボールのロゴ
  
 一番最初に放映されたドラゴンボールのロゴは旧コミックスを意識したデザインとなっている。英文字の部分は立体的になり、色も青と赤の二色で単語を塗り分けている。そして一番目立つのが左にいる龍のキャラクターだ。原作、アニメ共にこのような可愛らしい龍のキャラクターは出てこないが、タイトルのドラゴンの部分の意味づけと原作者・鳥山明氏デザインタッチを使用することによって、マスコットとして扱っているのだろうか。

アニメ第二期・ドラゴンボールZ
  
 二番目はドラゴンボールZのロゴ。メインが英文字なのは変わってはいないがフォントが変わり字のタッチと配色、並びが力強さを表している感じがする。Oの部分はドラゴンボールのボールをシンボルにした抽象的なデザインになっている。タイトルに付け加えられた Z の文字が一番大きく強調も強い。これによりタイトルロゴからアニメ本編の内容もパワーアップしている様子がうかがえるのではないだろうか。


第三期・ドラゴンボールGT

 原作終了後を描いたアニメオリジナル作品、ドラゴンボールGTのロゴを見ていこう。
英語表記なのは統一されているのかかわりはないがDRAGON BALLの部分が文字の大きさや並びがほぼ一定になってしまったため力強さは減ってしまっている様に感じられる。Oをドラゴンボールにもしたデザインなところに変更はない。その中で一番アピールポイントが高いのがGTという文字。天板を加工した様なデザイン、赤い三角形をバックにしているところが、この作品が宇宙旅行をテーマにしているところとリンクしていると推測できる。宇宙飛行士がつけるエンブレムがモチーフなのだろうか。

リメイク版?ドラゴンボール改

 最後はGTから約8年を経て放送された、Zを再編集、再収録によって改修したドラゴンボール改のロゴ。DRAGON BALLの部分は英語、Oはドラゴンボールのデザインというところは相変わらず一貫している。タッチの感じはZよりGTに近い感じでZ程の力強さは感じられない。Z、GTとタイトルに付け加えられた文字が目を引いていたが、今回はKAIという文字が表記の中で一番大きい。KAIはそのまま改を表している。稲妻を表した様なデザインは内容の激しさをZとは違う形で表現しているのだろうか。そしてKAIの後ろには改の文字が明朝体で表記されている。ドラゴンボールのタイトルに漢字が使われているという前代未聞のタイトルロゴだ。これには訳があり、Z、GTのタイトルを考えたのはアニメ制作側なのだが、改を命名したのは原作者・鳥山明自身なのだ。原作者が改の字を使おうという声があったためこのデザインになったという話らしい。アニメスタッフと原作者で必ずしも意図が同じとは限らないのだろう。

 個人的に一番好きなのは一番見ていたZなのだがGTや無印のロゴもなかなか良いものだと思う。改は漢字をつけてしまったことやKAIが日本語、日本読みであることが納得できない。今まで通りのプロセスでデザインしなかったのが残念で仕方がない。KAIの部分も丸っこいデザインなところも好きではない。改 というのは避けて通れなかったのだろうか、外国で放送もされていたみたいなのでそこも考慮してもっとカッコイイタイトル、ロゴができたのではないかと私は思う。

2015年5月19日火曜日

オッス!でざいんはでーじだぞ!其ノ一

 今回はドラゴンボールのコミックスのロゴの違いについて見ていきたい。

コミックス版ロゴ

 コミックス版のロゴは英語表記でタイトルが書かれたものとなっている。英文字の下にはカタカナでドラゴンボールとフリガナがふってある。どちらもデザインがシンプルにまとまっている。カラーは青、水色、黄色が使われているが理由は不明だ。


完全版
  
 次は通常版コミックスが完結してから約8年後に発売されたページに彩色、加筆が施された完全版コミックス。表紙デザイン自体も一新されている。ロゴはよりシンプルになり、英語表記は変わらないが頭文字だけが大文字なのでインパクトが薄い。個人的に言うとショボい。赤をバックにしているために白一色になったのであろう。新しく描き下ろされた表紙イラストをメインにしたいためにロゴは控えめにしたんだと感じる。


右が旧コミックス版、左が新装版

  最後に完全版発刊からさらに数年後に発売された新装版のロゴを見ていこう。ロゴは大きく D B  という二文字が目をひく。黄色に縁取られ、文字の中は黄緑で塗りつぶされている。Dに重なりつつBまでの空白のところにドラゴンボールという表記が黒色の英文字とカタカナで表記されている。(正直黒文字の部分はロゴに入るかは微妙なところだ。)言わずもがなDとBはドラゴンボールの略称を表している。旧コミックス版と比較すると新装版は表紙イラストの方が若干小さくその分ロゴの主張が大きい。ドラゴンボールは全世界で読まれているため略称表記のロゴでも分かってもらえるのではないか?という理由でこのロゴにしたのではないかと私は推測している。ロゴを大きくした分イラストを小さくしてしまったので余計なことをしている。それに大事な表紙のロゴを正式名称の表記があるとはいえ略称でドン!と〆てしまうのはいかがなものだろうか。はっきり言うと完全版より酷い出来上がりだと私は思う。

 彩色の基準は不明だがシンプルな表記でまとまった旧コミックス版のロゴが私には一番しっくりくる。完全版はシンプルというより手抜きに近いものを感じる。新装版は略称にするためにロゴを大きくしてイラストを縮小させたという最悪のものだ。こう見ると新しいものがデザインされるたびに劣化して行っているのではないだろうか。時代の進歩とともにデザインも進歩するとは限られないのだ。

2015年5月18日月曜日

は〜ん、共に目指す

 子供の頃はアニメ映画や子供向けの邦画を劇場に観に行くことがあったが、洋画はほぼ興味がなかった。そんな私が初めて観に行きたいと思った、「スターウォーズ エピソード1 ファントムメナス」だ。理由については簡潔にいうと観に行った友達から勧められたということなのだが、この作品とのコンタクトは劇場に行く前からあった。


この作品が公開された頃は私は小学生で電車通学で学校に通っていた。その通学中に電車の中吊り広告や駅に貼ってあるポスターに上の画像が宣伝広告として貼られていた。説明やキャッチコピーがどのような物だったかは忘れてしまったが、この子供と子供の影という構図が非常に印象に残っている。
 この画像に写っている少年はエピソード1の主人公、アナキン・スカイウォーカーだ。エピソード1は過去に作られたスターウォーズシリーズへと続く序章として作られた物で、アナキンは過去のシリーズでは主人公ではなく宿敵ダース・ベイダーとして登場する。エピソード1ではアナキンは闇に堕ちる前の純粋無垢な少年であった。画像のアナキンから伸びている影は影としては形が違っている。この影のシルエットはのちにアナキンが闇に落ちた後の姿、ダース・ベイダーの形をしているのだ。このポスターは過去作を見てきた人達から見ると「この少年がベイダーの子供時代か」という認識が一目でわかるようになっている。逆にいうとアナキン=ベイダーというネタバレが思いっきり公表されてしまっているが、そうまでしてしまう程の有名な作品なのだから仕方ないのかもしれない。
 また副題のファントムメナスというのもこのポスターとマッチしていると思う。ファントムメナスは翻訳すると「見えざる脅威」を意味する。まだ子供であり悪としての片鱗はないアナキンではあるが、その将来は悪の司令官ダース・ベイダーであるというエピソード1においては見えざる脅威であるということが集約されている。映画本編においての見えざる脅威は他にも存在はするがこちらの方が宣伝として、イメージとしての役割が世間的には強いだろう。
 劇場でのポスターや発売された映像媒体では歴代シリーズに合わせた構図のイラストや写真だった。先ほどのポスターはシリーズの中でも異例のものであった。新シリーズ第1弾の宣伝として歴代とは違うことをしていくということは、度胸もあるが新しいイメージや違った目線から作品を見てらおうという製作側の意図があるのかもしれない。

劇場用ポスターなどに使われたイラスト。
アナキンがメインではあるが、ベイダーの要素はこちらにはない。
アナキンの左にはシリーズお馴染みのC-3POやR2-D2がいて、
お馴染みのキャラは配置することでシリーズのつながりを表している。

2015年5月16日土曜日

つぶやきプロダクション

 前回、私は小さい頃からバンダイのロゴに好意を抱いていたという話をしたが、今回はもう一つ小さい頃から見るたびに興奮したロゴについて話していきたい。

 今回は円谷プロダクションのロゴマークについてだ。私は幼少期から円谷プロが製作してきたウルトラマンシリーズを見て育ってきた。ウルトラマンシリーズは古い作品などはビデオで見ておりその都度円谷プロのロゴマークを見てきた。バンダイ製品と同じようにウルトラマンにも期待をしていた。番組が始まる前に映るこのロゴに何度も興奮した。


このロゴマーク、デザイン自体はかっこいいと思っているがモデルというかコンセプトというものが私には分からない…。子供の頃はウルトラマンシリーズに登場する防衛軍のマークに似ているなぁという程度にしかデザインは認識していない。元はなんなのか、インターネットで調べてみた。質問サイトにて「円谷のTをレタリングしてデザインしたものなのか?」という質問に対して「所属スタッフがカタカナのツ、円谷のツを右肩上がりにしてそうなるよう願いを込めてデザインされたという説がある」という回答があった。確かにロゴのマークにツの字を当てはめてみると右肩上がりにツが入る。Tよりはツの方が説得力はある。ロゴは企業、団体を表すシンボルでありアピールするものでもあるのと同時にそこに所属する者たちの願いも込められて作られているということもあるのだろう。だが私にとっては理屈抜きで只々カッコイイ、そう思ってしまう。デザインを勉強する者でありながらこのような感じではいけないのかもしれないが、一目、直感で好印象を持ってもらうこともデザインの魅力の一つではないのだろうか。

子供の頃に似ていると思っていたマーク。
初代ウルトラマンに登場する科学特捜隊のマークだ。
赤いラインの部分の矢印のようなところが似てはいないだろうか?

2015年5月15日金曜日

万歳のプロモデル

 四月にセミナーをしてくれた新村さんや講師のお話から松永真さんというデザイナーの名前がよく上がっていた。松永さんは企業のロゴマークをデザインされていて、ウィキペディアで手がけたものを調べてみるとどれも有名なものばかりだった。その中で自分にとって1番なじみ深いものが「バンダイ」のロゴマークだ。

 私は小さい頃から今現在において沢山のバンダイ製品と触れ合ってきた。その度にバンダイのロゴマークを見てきた。玩具、食玩、ゲームのパッケージやゲームのタイトル画面などに記載されている。玩具の裏にも刻印されている場合もある。玩具やゲームで遊んだり、映像作品を見る前にこのロゴマークを見ると不思議とテンションが上がる。勿論ロゴマークの周りに自分の好きなものが写っているデザインなのでそっちを見る方が上がるテンションは高いのだが。小さい頃からバンダイ製品には楽しませてもらっているので、バンダイ=楽しいものという概念が自分の中に刷り込まれているのかもしれない。(バンダイ製品は素晴らしいものもあればそうでない、真逆のものも存在はする)

バンダイのロゴマーク

こちらの画像が今現在使われているバンダイのロゴマークだ。赤い角丸四角に独特なフォントで大きく白でBANDAIと書かれたシンプルなデザイン。企業ロゴとしてはシンプルな分とても分かりやすく一目でバンダイと認識できる。バンダイ製品を知らずにこのロゴマークを見ても自分のようにワクワク感を得る人はほぼいないのではないのだろうか。知っている人だからこそこのロゴマークには期待(一部では不安)を感じる、つまり相乗効果あってこそのロゴマークの力というものが存在すると私は思う。

 以下は前に使われていたバンダイのロゴを紹介していきたい。下の二つは私にはまったく馴染みがないのだがこのロゴの頃にバンダイ製品と触れ合った人たちにはこちらの方がワクワク感があったりするのだろうか…?二つとも松永さんのデザインではないみたいだ。

現在のロゴから二つ前のロゴ。
バンザイとバンダイを掛けたデザイン。
子供のイラストがあることで当時の
製品の対象がわかりやすい。
一つ前のロゴ。バンザイのデザインが引き継がれている。
文字が全部大文字に変化しているが人のシルエットが簡略化している。
現在のロゴを合わせた三つに共通していることはバンダイの表記が
英語ということとほぼ赤メインのデザイン。
何かしらのコンセプトの規約があるのだろう。


2015年5月12日火曜日

ハイ、大切です。

 先日学校の行事としてグラフィックデザイナー新村則人さんのセミナーを受けた。新村さんの生い立ち、デザイナーを目指すきっかけ、デザイナーになってからの経緯などとても興味深い話ばかりでとても有意義な時間だった。

 今回はその新村さんの作品の一つについて取り扱いたい。

地球の肺

タイトルは地球の肺というもので、草木は地球の呼吸器であるという環境をテーマにした作品だ。新村さんは自然を題材にした作品が多くこの作品も例に同じ。画像だと分かりにくいが本物の葉っぱを使い、肺の形にしていくのに一枚一枚ボードに刺して作り上げたという根気のいる作業の末完成したものだ。シンプルでわかりやすいテーマ、メッセージ性があるかもしれないが、私は新村さんがこの作品の説明をしてくれるまで別のテーマ、メッセージとして捉えていた。
 私はセミナーを受ける前にこの作品を見たときに、肺の形をしている、たくさんの木(等目に見ていたので葉に見えなかった)がある、これは禁煙促進をテーマにしているんだなぁと捉えてしまったのだ。実際のところあまり覚えていない。タバコは吸い続けると肺に悪影響をもたらす。肺を森に見立てて喫煙し続けることによってこの綺麗な森は枯れてしまうんだぞ、そういうメッセージとして受け取っていた。新村さんの話を聞いて「あぁ、確かに新村さんの言う通りでもあるな」と思ったが、自分の捉え方に関しては全部間違ってはいないとも同時に思った。私個人が思ったことではなく、誰かがこの作品を禁煙促進のポスターと言っていたのを聞いて先述したイメージを持った気がする。
 生物にとって呼吸器、肺は生きることにおいてとても大切なものだ。人間が自然破壊をすることによって草木、つまり地球の肺が枯らされていく。そうすることによって地球の寿命は縮んでしまう。これは人間が喫煙し続けることによって起きてしまうことと同じだ。大体のテーマ、メッセージの捉え方は作者である新村さんのものとは違っていたが根底の根底にある、肺は大切なもの、粗末にしないようにしようということに関しては共通している。もちろん作品が肺の形をしているからというのが一番ではあるが、シンプルな表現であるため全く別のものや真逆のものとしてのイメージが出ることは決してないであろう。
 この様にデザイン、作品は伝える側が意図していること通りに伝わるとは限らないのだ。見る側、聞く側、人それぞれによって思うことは必ずしも同じではない、だがそれ故に別の視点からテーマ、メッセージに気づく、捉えたものは違えど感銘を受けるといったことが起きるのかもしれない。作品はそれと作者のものだけだはなく鑑賞する第三者を交えることによって完成、さらなる飛躍を遂げるのではないかと私は思っている。

ギャラリーに展示されている地球の肺(右)
左の作品も地球の肺と同じように何かを指して十字形のものを形取っているが
画像だと何かわからないのでテーマ、メッセージのイメージがわからない…。
私にイマジネーションが足りないからなのだろうか。
新村さんからは左の作品に関してはお話がなかった。

2015年5月10日日曜日

意匠

 今回は特撮番組、仮面ライダークウガの主人公が使用する変身ベルトのデザインについて考察していきたい。

仮面ライダークウガ
クウガ自身にも象形文字がデザインされている。

 仮面ライダーという作品はシリーズものとなっている。シリーズものにはそれを通してなくてはならないものが存在するであろう。仮面ライダーシリーズでほぼ絶対的に必要なものが仮面ライダーになるためのアイテム、変身ベルトだ。この変身ベルトにも必要な定義というものがいくつかある。ベルトには変身に必要な機能が備わっている他に中心部分にはそのライダーを表すエンブレム、武器を収納するスペースなど各作品によって違いはあるがライダーを象徴するものが必ずデザインされている。これは変身に使う道具としてだけではなく、仮面ライダー自身の存在のアピールという装身具、つまりチャンピオンベルトのような役割も果たしているのだ。変身ベルト全般の説明はここまでにしておいて仮面ライダークウガの変身ベルト「アークル」を見てみよう。

変身ベルト・アークル
霊石アマダムの左右にある青、赤、緑、紫の物体はクウガが変化できる
形態の色を表し、その形態の色に合わせてアマダムの色も変化する設定。

上の画像がそのベルトだ。大きな特徴としては赤い円形の物体を中心に備えている他に象形文字のようなものが彫られている。赤い円形の物体はクウガに変身する力を持つ霊石「アマダム」で象形文字の方は作品で取り扱われた架空の古代人の架空の古代語である。全体のグレー色の感じもどこか石っぽさを感じる。仮面ライダークウガというヒーローは簡単に説明すると古代に作られたベルトで変身して戦う、古の戦士という設定なのだ。古の力を使い戦うといういかにもフィクションでオカルトチックな設定ではあるが、仮面ライダーシリーズでは異例なケースなのだ。
 このクウガ以前の仮面ライダーシリーズはほぼ毎作主人公が改造人間、いわゆるサイボーグに改造され変身して戦うというSFチックな作品だったのだ。そしてベルトのデザインも異例はあるが殆どのものが機械で出来ている。クウガのベルトも古代人の作った人工物ではあるが機械を使っているようには見えないところが、それまでにはなかった仮面ライダーの特徴として登場した。クウガと同じように霊石、いわゆるパワーストーンという機械とかけ離れたものを変身ベルトに備えていた仮面ライダーがいた。仮面ライダーBLACKという作品のライダーがそれだったのだがその変身ベルトはメカの中心に霊石がデザインされているというやはりSFが抜けきっていないものだった。

仮面ライダーBLACKの変身ベルト
クウガと同じ赤い霊石のようなものがあるがその周りは
明らかに機械の形をした物体でデザインされている。
オカルトとメカの融合を表しているそうだ。

  クウガのベルトが異例かつ特別なものと説明したところで次はクウガの変身ベルトの古代を表すもので1番強い要素、象形文字について考察していきたい。この象形文字は架空のものであると説明したが、適当に作られたものではなくちゃんと意味をなすものとして制作側が考案したものなのだ。この文字が一から考えられたものではなにかしろのモデルが存在するであろうと思い調べてみるとヒエログリフという古代エジプトで使われていた象形文字を見つけた。この文字の大きな特徴はシルエットの形をした文字で意味を伝えるという絵文字に似たものであった。このクウガの象形文字(リント文字)もシルエットの形をしていて、それと似た使用法であった。ヒエログリフは古代エジプトの遺跡の壁画などに掘られていてメッセージとして残されていた。クウガの変身ベルトの文字もメッセージ、説明の意味が記載されている。この様に象形文字を用いることで後の時代に伝えるという役割ができるということが二つには共通している。クウガの文字は制作スタッフがわざと作ったものではあるが、古代人からのメッセージを入れておくことで古代風のデザインの一つとして成り立っている。
 
ヒエログリフ
五十音を表す文字もあるが特定の意味を表す、単語・シルエットが存在する。
 石のような素材に見せたカラーリング、パワーストーンという天然物を表現できるデザインに象形文字の意匠を加えることで、ただの人工物から古代の人工物へとシフトチェンジする。文字自身もデザインの一つではあるが、あることによってデザインはさらに幅を広げ、メッセージを入れ見る側に意味を与えることができる、このクウガの変身ベルトもそのようなものをコンセプトとしてデザインされたのではないのかと私は思う。


アークルのリント文字にはこのような意味が記載されている。
棒人間のようなものは人の動作を意味している
ヒエログリフは難しそうだがったがこちらのデザインついてもいつか考察していきたい。

2015年5月6日水曜日

野ばらし(野放し)にはできない

 今までは造形物を扱った記事だったが、今回は二次元、文字&イラストに対しての記事にすることにした。
 今回はファイナルファンタジーⅡ(FF2)のロゴデザインについて考察をしていきたい。FF2はファミコン版とリメイク版によってロゴが違っているのでそれぞれ見ていきたいと思う。

FF2ファミコン版のロゴ

 こちらの画像がファミコン版のFF2のロゴデザイン。筆記体のアルファベットでタイトルが書かれている。全体で見ると派手なデザインに目を惹かれる。アルファベットの部分はドラゴンを模したようなデザインで縁取られている。縁も金色と豪華な彩色だ。アルファベットの背後には作品のナンバリングを表すⅡの文字がある。2の文字は真っ直ぐではなく斜め向きなデザインをされている。よく見てみるとこのⅡの上部分はFの上部分、ドラゴンのトサカあたりとシルエットが似ておりドラゴンの影を表している。ドラゴンや豪華なデザインによりファンタジックなタイトルロゴに仕上がっている。このゲームがそういう路線をアピールしているのが伝わって来る。ゲームをプレイするとわかるがこのゲームではあまりドラゴンは活躍もせず重要でもない。映画のタイトルロゴのような雰囲気で見ているだけで私はワクワクしてくる。ロゴは好きだがFF2のゲーム性も話も好きではない。


リメイク版FF2のロゴ(WS、PS、GBA共通)

 ファミコン版の発売から13年後にFF2はリメイクされワンダーズワン(WS)で発売、その後にはプレイステーション(PS)、ゲームボーイアドバンス(GBA)の三種類の機種でリリースされた。このリメイク三作品のロゴは画像の1つのみと共通している。使われている文字は前と同じアルファベットとⅡの文字とリメイク版ではカタカナが追加されている。フォントは凝っていたオリジナルと比べ、とてもシンプルなものとなっている。そしてどうしても気になってしまうのが、LとFの間にいるキャラクターだ。このキャラクターは皇帝といいFF2の諸悪の根源、いわゆるラスボスである。ゲーム作品のタイトルロゴというラベルとしては1番重要なポジションに鎮座している彼だが、今作品の数あるキャラクターの中から何故彼が選ばれたのか、私個人の率直な意見としては全く意味がわからない、というところだ。この皇帝というキャラクターは主人公たちが故郷や親を失った原因を作った本人であり、倒すべき敵なのだが、皇帝本人の登場するは終盤の手前であり、話す回数も多くなく、戦闘も2回しかないというとにかく影が薄いのだ。魅力のあるキャラクターかというとそんなことはなく、ただ残虐非道なだけという憎まれ役なだけ。そんな彼がどうして採用されたのか。ここでこのFF2のイメージイラストを見てみよう。

FF2イメージイラスト

このイラストは先ほどの皇帝のイラストを描いた人、天野喜孝によって描かれたものだ。手前に4人がプレイヤーが操作する主人公達、奥にデカデカといる人物が皇帝。先ほどの皇帝のイラストとほぼ同じである。制作側はこのイラストを元にロゴをアピールしたかったのだろうか。ドラゴン風にデザインされてたとはいえ文字のみのファミコン版と違いリメイク版ではゲームのイメージイラストを表現することによってこのゲームはロゴの中央にいる皇帝という敵が出てくる、こいつが倒すべき敵なのだと訴えかけているのではないかと私は記事を書きながらそう感じ取った。このイラストの皇帝は傲慢な表情をしているように見える。この表情を打ち砕くためにもプレイヤーには頑張ってもらいたいというところだろうか。残念だがらゲームをクリアしてもこのロゴのイラストは残ったままだ。


憎むべき敵、皇帝。上の文章は別のキャラクターの説明文。
民からの信頼など皆無であり恐怖で支配するという最低な男だ。

 今度は別のリメイク版FF2のロゴを見ていこう。

PSP、アプリ版でのロゴ

文字の部分は先ほどのロゴと全く同じだがまたLとFの間にキャラクターいる。このキャラクターは誰なのか。答えはひとつ、皇帝だ。いい加減にしろ!!前のロゴの皇帝の部分をリメイクした、というところだろうか。表情、服装、映っている大きさなどが前とは別物になっている。しかし表情は相変わらず傲慢なように見える。引き続き皇帝なのはこのゲームには主人公勢やアイテム、モンスターなどで印象に残るようなものがそれほどなく、強いて出すなら皇帝といった感じなのだろうか。正直、倒すべき最後の敵にしても存在が薄く愛される要素のないキャラクターをタイトルロゴという重要なポジションに起用するのはいかがなものか。もしかしたら皇帝に魅力を感じ、大好きな人もいるかも知れないが私は納得はできない。

 1番最初のロゴはファンタジックなデザインでゲームの世界観を表し、リメイク版ではゲームのイラスト、イメージデザインに基づいて皇帝という敵をアピールしている。リメイク版その2ではそこからイラストを変えてフレッシュ感を出したのだろうか。皇帝がタイトルを飾っているのは納得いかないが製作側の要望などに答えて作られたものであろうし、ゲームのイメージでもあるので間違ってはいないのだろう。他のFFシリーズのロゴ(プレイしたことあるもののみ)を見てみると、リメイク版FF2のようにイラスト入りのものがあるがどれも作品を象徴する生物、物体が入っている。ということは皇帝はFF2の象徴するものは皇帝ということ結論になる。イメージを再現できたとしても、ゲームをプレイした上で納得してもらえなければ意味がない、つまりゲームのロゴ、デザインはゲームの内容と連動して評価されるものではないかと私は思う。

私の嫌いな皇帝の断末魔で幕を閉じるとしよう。

2015年5月5日火曜日

悶々デザインペンデュラム♪

 今回もデジモンについて考察していきたいと思う。考察対象は先回紹介した初代デジモンシリーズから進化して誕生した後継機「デジモンペンデュラム」シリーズ。その中からデジモンペンデュラムについて取り上げる。

デジモンペンデュラムとそのパッケージ。
初代デジモンのブリスタータイプから箱型のパッケージに変更されている。

 まずはデジモンペンデュラムの簡単な説明から。デジモンペンデュラムは初代デジモンからバトル、育成、モンスターの進化を発展させ遊びの幅を広げたもので、ゲーム機本体のデザインも前作とは違ったものに変更をされている。

デジモンペンデュラム(ver.2 ディープセイバーズ)
主に水棲系モンスターが登場するので画面の背景は深海、
ボディの色もそれに合わせてダークブルーとなっている。
 
 一見すると初代デジモンから少しデザインを変えたように見えるが様々な場所を観察していきたい。まずは全体の形、レンガのデザインはなくなり長方形だった初代デジモンに対してペンデュラムは四隅の角が取り払われ、八角形(?)の形に変更されている。このことについては後で詳しく触れていきたいので次は画面の方に移ろう。画面の枠のデザインも前作の穴付きの古風な檻の枠から少しオシャレな鉄格子の窓風なものとなっている。ボタン周りもボタンを押しやすくするためなのだろうか、前作にはなかった凹みが彫られている。こうしてみると古風で無骨なイメージの初代デジモンから洗練されスタイリッシュなデザインになったように感じられる。画面背景のデザインも登場するモンスター毎に合わせられていて例えば水棲系のモンスターを育成できる機種では深海の背景。ロボットやサイボーグの出る機種では工場、他にも天空や天界をイメージしたものなどモンスターのバリエーションとともに背景の種類も増えている。個人的に自然界を飛び越えたものになってしまったのは少し残念である。ちなみにキーチェーンの方は今までと同じ鎖型チェーンとフックのタイプが採用されている。

下の列の左から初代デジモン、デジモンペンデュラム。
その他については割愛。

 それではゲーム機デザインの形について考察していきたい。何故八角形になったのか、ただ洗練するためにそうしたのだろうか、そうではない。ゲームの内容の結果、この形になったのだ。簡潔に説明するとこのデジモンペンデュラムにはその名の通り「ペンデュラム=振り子」が搭載されているのだ。この振り子、すなわちゲーム機本体を戦闘中に振ることによって敵に与えられるダメージが変動するというシステムがある。その振り方は大体は手で握ったり、掴むようにして思いっきり上下または左右に振る感じだ。

詳しくはCMを参照

初代デジモンのように角張った形で振るのは手に負担が掛かってしまう。そのために角を取り払い掴みやすい形にしたのではないのだろうかと考えている。角を取り払ったデザインならたまごっちのように楕円形の形にすれば良いじゃないかと思うだろうが、それでは逆に手から勢いよく吹っ飛びそうでもあり、初代デジモンの後継機としてのイメージを持たせるためにも基本の形を引き継いだ上でこの形にしたのだろう。こうしてみるとこの全体の形はゲームの設定が出来てからデザインされたのではないかと推察できる。

 初代デジモンはモンスターを育てるための道具をイメージしたものとして、檻をデザインされたものとなった。ペンデュラムは振ることを考慮して前作からそれに適応したデザインと変化した。つまりデザインはテーマ、内容を決めてから作られていくものである。当たり前のことであるがデザイン物を観察することによって、形、色、機能がどうして決まったのか、そのテーマや内容について推察することができる。私は今回デジモンペンデュラムからどうしてこのような形になったかを導き出した。デザイン物にはほぼ必ず意味が存在すると思う。読み取ることもできれば与えることもできる。浅く見えて実は物凄く深いのものであるのだろう。

2015年5月4日月曜日

戦うたまごっちから見えてくるモン(モノ)

 記念すべき第一回目の考察するデザイン物は携帯育成ゲーム機「デジタルモンスター」。

デジモン本体とパッケージ、パッケージのデザインにもいつか触れたい。
 
 「デジタルモンスター」(以下デジモン)はかつて大ブームを起こした携帯育成ゲーム機「たまごっち」に対戦の要素を加えることによって男の子向けのゲーム、戦うたまごっちをコンセプトに開発、発売されたものである。
 
 簡単な説明をしたところで早速デジモンのデザインについて見ていきたい。まずは全体の形は積み重なったレンガをモチーフにした長方形の形をしている。育成するモンスターが表示される画面の周りは檻や鉄格子、鍵穴を模した枠で囲われている。画像や説明でお分かりになるだろうがこのゲーム機は古風な檻やケージをイメージさせるデザイン物となっている。このゲームに登場するモンスターは可愛らしいものから凶悪で不気味なものと様々の種類がいるがモンスターとそれを飼育する為の檻、とても素晴らしい組み合わせだと私は思う。

偉大なる先輩たまごっちとデジタルモンスター
 
 次にたまごっちとデジモンのデザインについて比較していこう。たまごっちはその名の通りタマゴ型のシンプルなデザインとなっているのに対して、デジモンは無骨で角張ったデザインだ。これはデジモンがたまごっちよりも男性が好みそうなデザインを意識して作られたということが分かる。またキーチェーンもたまごっちは普通のボールチェーンだがデジモンは鎖風のチェーンにフックというこちらも無骨なものとなっている。ちなみに私はこのデジモンのキーチェーンはモンスターを檻に繋いでおく鎖をイメージしたものではないかと考えている。どちらも同じ会社から発売されているものなのだがゲームの内容、売り込むターゲットによってガラリと印象が変え、差別化を図るのだろう。

デジモンの画面、画面には飼育するモンスターとモンスターがいる世界の背景が映し出されている。

 今度はデジモンの画面にある背景のデザインについて考察をしていく。この背景はデジモンのバージョンによって別のものになっているが、平原や荒野、森林に砂漠など自然環境のイラストでデザインされている。ここで一つの矛盾が生じてしまう。デジモンの全体のデザインは檻、そして画面中のデザインは自然。そう、室内と室外という別世界のものが混同しているのだ。どうしてこのようになったかということを簡潔に説明をすると、このデジモンのゲーム機は電脳生命体であるモンスターを飼育する機械であり、モンスターはこの機械の中にある電脳空間で生活をしているという設定があるのでその為であろう。しかし、この設定はゲーム中にもゲームの説明書にも出てこないのだ。これではただの矛盾したデザイン物なのではないかと思ってしまうかというと……全くそんなことはないのだ。まずモンスターを飼育する場所、形を考えてみると自然の中で野放しよりも檻やケージが一番うってつけであろう。そしてモンスターが動き回るとして一番最良の場所はというと辛気臭く、暗い檻の中ではなくさっきとは真逆の自然の中であろう。室内と室外と噛み合わないものでもそれぞれのベストな役割を表現することで矛盾を超えた一つのデザイン物になると私は思う。

 デザインすることにおいて決めたテーマ、内容を連想や発展していくことでまとまったものに仕上がるだろうが、真逆のものをイメージしたり使用ことでもまた別のデザインが出来上がるのではないかと私はこのデジモンから感じ取った。デザインの線、可能性は一つだけではなくいくつもの分岐線によって成り立っているモンとして見えるのではないのだろうか。