2015年5月12日火曜日

ハイ、大切です。

 先日学校の行事としてグラフィックデザイナー新村則人さんのセミナーを受けた。新村さんの生い立ち、デザイナーを目指すきっかけ、デザイナーになってからの経緯などとても興味深い話ばかりでとても有意義な時間だった。

 今回はその新村さんの作品の一つについて取り扱いたい。

地球の肺

タイトルは地球の肺というもので、草木は地球の呼吸器であるという環境をテーマにした作品だ。新村さんは自然を題材にした作品が多くこの作品も例に同じ。画像だと分かりにくいが本物の葉っぱを使い、肺の形にしていくのに一枚一枚ボードに刺して作り上げたという根気のいる作業の末完成したものだ。シンプルでわかりやすいテーマ、メッセージ性があるかもしれないが、私は新村さんがこの作品の説明をしてくれるまで別のテーマ、メッセージとして捉えていた。
 私はセミナーを受ける前にこの作品を見たときに、肺の形をしている、たくさんの木(等目に見ていたので葉に見えなかった)がある、これは禁煙促進をテーマにしているんだなぁと捉えてしまったのだ。実際のところあまり覚えていない。タバコは吸い続けると肺に悪影響をもたらす。肺を森に見立てて喫煙し続けることによってこの綺麗な森は枯れてしまうんだぞ、そういうメッセージとして受け取っていた。新村さんの話を聞いて「あぁ、確かに新村さんの言う通りでもあるな」と思ったが、自分の捉え方に関しては全部間違ってはいないとも同時に思った。私個人が思ったことではなく、誰かがこの作品を禁煙促進のポスターと言っていたのを聞いて先述したイメージを持った気がする。
 生物にとって呼吸器、肺は生きることにおいてとても大切なものだ。人間が自然破壊をすることによって草木、つまり地球の肺が枯らされていく。そうすることによって地球の寿命は縮んでしまう。これは人間が喫煙し続けることによって起きてしまうことと同じだ。大体のテーマ、メッセージの捉え方は作者である新村さんのものとは違っていたが根底の根底にある、肺は大切なもの、粗末にしないようにしようということに関しては共通している。もちろん作品が肺の形をしているからというのが一番ではあるが、シンプルな表現であるため全く別のものや真逆のものとしてのイメージが出ることは決してないであろう。
 この様にデザイン、作品は伝える側が意図していること通りに伝わるとは限らないのだ。見る側、聞く側、人それぞれによって思うことは必ずしも同じではない、だがそれ故に別の視点からテーマ、メッセージに気づく、捉えたものは違えど感銘を受けるといったことが起きるのかもしれない。作品はそれと作者のものだけだはなく鑑賞する第三者を交えることによって完成、さらなる飛躍を遂げるのではないかと私は思っている。

ギャラリーに展示されている地球の肺(右)
左の作品も地球の肺と同じように何かを指して十字形のものを形取っているが
画像だと何かわからないのでテーマ、メッセージのイメージがわからない…。
私にイマジネーションが足りないからなのだろうか。
新村さんからは左の作品に関してはお話がなかった。

0 件のコメント:

コメントを投稿