2015年5月4日月曜日

戦うたまごっちから見えてくるモン(モノ)

 記念すべき第一回目の考察するデザイン物は携帯育成ゲーム機「デジタルモンスター」。

デジモン本体とパッケージ、パッケージのデザインにもいつか触れたい。
 
 「デジタルモンスター」(以下デジモン)はかつて大ブームを起こした携帯育成ゲーム機「たまごっち」に対戦の要素を加えることによって男の子向けのゲーム、戦うたまごっちをコンセプトに開発、発売されたものである。
 
 簡単な説明をしたところで早速デジモンのデザインについて見ていきたい。まずは全体の形は積み重なったレンガをモチーフにした長方形の形をしている。育成するモンスターが表示される画面の周りは檻や鉄格子、鍵穴を模した枠で囲われている。画像や説明でお分かりになるだろうがこのゲーム機は古風な檻やケージをイメージさせるデザイン物となっている。このゲームに登場するモンスターは可愛らしいものから凶悪で不気味なものと様々の種類がいるがモンスターとそれを飼育する為の檻、とても素晴らしい組み合わせだと私は思う。

偉大なる先輩たまごっちとデジタルモンスター
 
 次にたまごっちとデジモンのデザインについて比較していこう。たまごっちはその名の通りタマゴ型のシンプルなデザインとなっているのに対して、デジモンは無骨で角張ったデザインだ。これはデジモンがたまごっちよりも男性が好みそうなデザインを意識して作られたということが分かる。またキーチェーンもたまごっちは普通のボールチェーンだがデジモンは鎖風のチェーンにフックというこちらも無骨なものとなっている。ちなみに私はこのデジモンのキーチェーンはモンスターを檻に繋いでおく鎖をイメージしたものではないかと考えている。どちらも同じ会社から発売されているものなのだがゲームの内容、売り込むターゲットによってガラリと印象が変え、差別化を図るのだろう。

デジモンの画面、画面には飼育するモンスターとモンスターがいる世界の背景が映し出されている。

 今度はデジモンの画面にある背景のデザインについて考察をしていく。この背景はデジモンのバージョンによって別のものになっているが、平原や荒野、森林に砂漠など自然環境のイラストでデザインされている。ここで一つの矛盾が生じてしまう。デジモンの全体のデザインは檻、そして画面中のデザインは自然。そう、室内と室外という別世界のものが混同しているのだ。どうしてこのようになったかということを簡潔に説明をすると、このデジモンのゲーム機は電脳生命体であるモンスターを飼育する機械であり、モンスターはこの機械の中にある電脳空間で生活をしているという設定があるのでその為であろう。しかし、この設定はゲーム中にもゲームの説明書にも出てこないのだ。これではただの矛盾したデザイン物なのではないかと思ってしまうかというと……全くそんなことはないのだ。まずモンスターを飼育する場所、形を考えてみると自然の中で野放しよりも檻やケージが一番うってつけであろう。そしてモンスターが動き回るとして一番最良の場所はというと辛気臭く、暗い檻の中ではなくさっきとは真逆の自然の中であろう。室内と室外と噛み合わないものでもそれぞれのベストな役割を表現することで矛盾を超えた一つのデザイン物になると私は思う。

 デザインすることにおいて決めたテーマ、内容を連想や発展していくことでまとまったものに仕上がるだろうが、真逆のものをイメージしたり使用ことでもまた別のデザインが出来上がるのではないかと私はこのデジモンから感じ取った。デザインの線、可能性は一つだけではなくいくつもの分岐線によって成り立っているモンとして見えるのではないのだろうか。

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