今回は特撮番組、仮面ライダークウガの主人公が使用する変身ベルトのデザインについて考察していきたい。
仮面ライダークウガ クウガ自身にも象形文字がデザインされている。 |
仮面ライダーという作品はシリーズものとなっている。シリーズものにはそれを通してなくてはならないものが存在するであろう。仮面ライダーシリーズでほぼ絶対的に必要なものが仮面ライダーになるためのアイテム、変身ベルトだ。この変身ベルトにも必要な定義というものがいくつかある。ベルトには変身に必要な機能が備わっている他に中心部分にはそのライダーを表すエンブレム、武器を収納するスペースなど各作品によって違いはあるがライダーを象徴するものが必ずデザインされている。これは変身に使う道具としてだけではなく、仮面ライダー自身の存在のアピールという装身具、つまりチャンピオンベルトのような役割も果たしているのだ。変身ベルト全般の説明はここまでにしておいて仮面ライダークウガの変身ベルト「アークル」を見てみよう。
変身ベルト・アークル 霊石アマダムの左右にある青、赤、緑、紫の物体はクウガが変化できる 形態の色を表し、その形態の色に合わせてアマダムの色も変化する設定。 |
上の画像がそのベルトだ。大きな特徴としては赤い円形の物体を中心に備えている他に象形文字のようなものが彫られている。赤い円形の物体はクウガに変身する力を持つ霊石「アマダム」で象形文字の方は作品で取り扱われた架空の古代人の架空の古代語である。全体のグレー色の感じもどこか石っぽさを感じる。仮面ライダークウガというヒーローは簡単に説明すると古代に作られたベルトで変身して戦う、古の戦士という設定なのだ。古の力を使い戦うといういかにもフィクションでオカルトチックな設定ではあるが、仮面ライダーシリーズでは異例なケースなのだ。
このクウガ以前の仮面ライダーシリーズはほぼ毎作主人公が改造人間、いわゆるサイボーグに改造され変身して戦うというSFチックな作品だったのだ。そしてベルトのデザインも異例はあるが殆どのものが機械で出来ている。クウガのベルトも古代人の作った人工物ではあるが機械を使っているようには見えないところが、それまでにはなかった仮面ライダーの特徴として登場した。クウガと同じように霊石、いわゆるパワーストーンという機械とかけ離れたものを変身ベルトに備えていた仮面ライダーがいた。仮面ライダーBLACKという作品のライダーがそれだったのだがその変身ベルトはメカの中心に霊石がデザインされているというやはりSFが抜けきっていないものだった。
仮面ライダーBLACKの変身ベルト クウガと同じ赤い霊石のようなものがあるがその周りは 明らかに機械の形をした物体でデザインされている。 オカルトとメカの融合を表しているそうだ。 |
クウガのベルトが異例かつ特別なものと説明したところで次はクウガの変身ベルトの古代を表すもので1番強い要素、象形文字について考察していきたい。この象形文字は架空のものであると説明したが、適当に作られたものではなくちゃんと意味をなすものとして制作側が考案したものなのだ。この文字が一から考えられたものではなにかしろのモデルが存在するであろうと思い調べてみるとヒエログリフという古代エジプトで使われていた象形文字を見つけた。この文字の大きな特徴はシルエットの形をした文字で意味を伝えるという絵文字に似たものであった。このクウガの象形文字(リント文字)もシルエットの形をしていて、それと似た使用法であった。ヒエログリフは古代エジプトの遺跡の壁画などに掘られていてメッセージとして残されていた。クウガの変身ベルトの文字もメッセージ、説明の意味が記載されている。この様に象形文字を用いることで後の時代に伝えるという役割ができるということが二つには共通している。クウガの文字は制作スタッフがわざと作ったものではあるが、古代人からのメッセージを入れておくことで古代風のデザインの一つとして成り立っている。
ヒエログリフ 五十音を表す文字もあるが特定の意味を表す、単語・シルエットが存在する。 |
石のような素材に見せたカラーリング、パワーストーンという天然物を表現できるデザインに象形文字の意匠を加えることで、ただの人工物から古代の人工物へとシフトチェンジする。文字自身もデザインの一つではあるが、あることによってデザインはさらに幅を広げ、メッセージを入れ見る側に意味を与えることができる、このクウガの変身ベルトもそのようなものをコンセプトとしてデザインされたのではないのかと私は思う。
アークルのリント文字にはこのような意味が記載されている。 棒人間のようなものは人の動作を意味している ヒエログリフは難しそうだがったがこちらのデザインついてもいつか考察していきたい。 |
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